先週金曜日(2019.10/25 19:00~)横浜美術館内で開催されたパリに因んだ作曲家の曲を、ピアノとヴァイオリンとパーカッションとオルガネッタで演奏するという変わった演奏会を聴いて来ました。曲目は①シャブリエ作曲『10の絵画風小品』②ドビュッシー作曲『“映像”より水の反映』③ラヴェル作曲『“鏡”より道化師の朝の歌』④サティー作曲『グノシェンヌ~ジュ・トゥ・ヴ』⑤ラヴェル作曲『ヴァイオリンソナタ2番第1楽章』⑥ドビュッシー作曲『喜びの島』の六曲の他に、初めと終わりに映画『デリカテッセン』からオープニングとエンディングテーマソング が演奏されました(この映画、見た事ありません)。今回の音楽会は、横浜美術館で今展示されているルノワール他の画家の作品に絡んで、関係有りそうな作曲家の曲を、レクチャー(解説)付きで鑑賞する趣向です。開演時間になると照明はすべて消され会場は真っ暗になりました。スポットライトは、舞台左のオルガネッタを演奏し始めた赤毛に染めた女性奏者(坂本日菜さん)と、客席右後ろから独特なパーカッションを叩きながら登場し客席通路を舞台に向かう男性奏者に当てられた。皆さん「オルガネッタ」ってご存知ですか?手回しオルガンの一種で、パリの街角で時々見かけるストリートオルガンと比べて、音量が少し小さく室内向けに改良された楽器です。音符が紙(ブックと呼ばれる)に記録されていて、手でそれを楽器内を通過するように回すと、音が出る仕組みです。パーカッション演奏者は非常にユニークな服装で現れました。一言でいうと「チンドン屋」に近い姿格好が皆の笑いを誘っていました。男性奏者は中年でヴァレーの黒いチュチュの様なスカートを履き、素足で黒いハイヒールを履き、前に抱えたパーカッション楽器、これが又非常にユニークなもので、鐘、太鼓様なものが金属らしい骨組みに何個もぶら下がっている。オルガン曲の映画音楽に合わせ、チン、コン、カン、トンと叩きながら、しずしずと前進しています。客席はざわめき、笑い声も聞こえる。ステージに上がると、演奏は益々盛んとなり、バチ捌きもどんどんテンポが速くなりタ、タ、タッタ、タ、タ、タッタ、チン、コン、カン、トン、ダッダタ、ダッタ、ダッタ、チーンと最後は、通常の打楽器奏者の腕前を披露するような見事に速く小太鼓?シンバル?を打ち鳴らしました。(?を付けたのは、使用している打楽器は、プログラムによると「廃品を回収して打楽器として使えるものを使っている」とのことなので。) 奏者の名は山口ともさん。NHK教育テレビに長期間出演していた人の様です。兎に角面白い映画テーマソングでした。次に①は今回の美術展の目玉、ルノアール作『ピアノを弾く少女たち』に描かれているプレイエルというパリのピアノメーカーのアップライトピアノを使って、坂本真由美さんが舞曲風の曲を弾きました。スタンウエイ等よりずーと優しい柔らかい音でした。でも弾き難くそう。今回聴きに来た動機の一つが、プレイエルの音を聴いたことがないので一度聴きたかったことがあります。プレイエルで演奏されたのは①と③の曲だけで、出来れば⑤のヴァイオリン伴奏も聴いてみたかった。この曲の伴奏は同時にステージに置いてあった、スタンウエイのグランドピアノを使って演奏されました。ヴァイオリン演奏は三又治彦さん、N響の第二ヴァイオリンの次席を務めているそうです。③の演奏はピアノとパーカッションで演奏、山口さんは、先のチンドン屋的打楽器集合の他に脇のテーブルに小さい鐘かお椀、得体の知れないもの等の小物の(廃品?)道具を並べていて適選、音を出していた。また棒の先に長い布か紙かプラのテープを付け、あたかも新体操の如く棒を振って回して風変わりな音を出していた。さらにピアノの上に置いてあった、子豚の置物(ゴム製か?)それを押して音を出し再び笑いを誘っていた。最後の⑤はスタンウエイのピアノを使って演奏、綺麗な音を出していました。鍵盤を弾く手もきれいな指使いで滑らかなものでした(座席から鍵盤が良く見えました)。
総じて楽器も演奏者も非常に変わった、でも大変面白い演奏会でしたが、演奏の途中で学芸員のレクチャー(と言うよりナレーションに近いかな?)があったにもかかわらず、音楽と展示絵画との関係性が今一つ不明瞭だったことは残念でした。
ルーブル美術館に行くと、歌劇場でオペラと思われる演奏会を聴く聴衆を描いた大きなサイズの絵や、ルネッサンス時代と思われる譜面を前に、楽器を演奏する女性を描いた絵等、音楽に因んだ題材が散見されますが、例えばどこの歌劇場の何のオペラを描いたのかとか、女性が弾く楽器は何で(例えばツイターなのかリュートなのかとか)誰作曲の何の曲の楽譜であるのか等々、いろいろ研究、調査した結果を踏まえてのレクチャー等であれば、
また聴きに行きたいと思うのですが。