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綺麗好き、食べること好き、映画好き、音楽好き、小さい生き物好き、街散策好き、買い物好き、スポーツテレビ観戦好き、女房好き、な(嫌いなものは多すぎて書けない)自分では若いと思いこんでいる(偏屈と言われる)おっさんの気ままなつぶやき

第16回チャイコフスキー国際コンクール優勝者コンサート

10月8日のコンサートの記録を10月12日に書いた記事を以下に掲げます。

 

 台風の激しい雨・風の音を窓越しに聴きながらこの文を書いています。先の15号の時も今回も、住んでいる横浜に上陸し直撃するのではないかと心配しましたが、若干それた様です。これは私の想像ですが、山岳地帯に台風(の渦)が衝突して、それまでの進路の向きが変わる影響が相当あるためではないかと思うのです。先ず伊豆半島の千メートルくらいの山岳に遮られ、15号は神奈川県に上陸しないで、平地と低い山しかない千葉方面にズレました。今回の19号は、(各種数値が)大きかった15号よりさらに大型で、伊豆半島に衝突しても余り遮られないで上陸し、その後山北地区北方の山岳地帯による空気摩擦抵抗があるため、丹沢山系を避けてその南側を町田方面に進んだのではなかろうか?と考えるのです。若し日本列島に日本アルプス他の山岳が無く平坦地だったら、大地震でなくても、台風による日本沈没があり得ないことではなかったかも?地球温暖化で沈没の危機に瀕している、キリバス他の南方の島国の様に。
 ところで今週の火曜日、第16回チャイコフスキー国際コンクール優勝者コンサートを聴いて来ました(2019.10/8 19h~@東京芸術劇場)。優勝者によるガラコンサートということで、チケット購入時点では、ピアノ部門、ヴァイオリン部門、チェロ部門の1位入賞者が演奏するということだったのですが(タイトルからして当然です)、7月頃にはチェロ部門は2位入賞者出場に変わり、更に演奏会当日のプログラムでは、ピアノ部門も優勝者は出場せず、2位入賞者出演となっているのを見て失望しました。腹の中では「これでは『入賞者コンサート』だな」と独り言。ピアノの優勝者の演奏を是非聴きたいと思っていたからです。なぜならば、この部門2位に日本の藤田真央さんが入賞したのですが、1位の子はどの様な演奏をするのか直かに確かめたかったからです。残念でした。バックのオケは飯森範親指揮の東京交響楽団です。勿論演奏曲目は、オール、チャイコフスキー。飯森さんは、人気映像「のだめカンタービレ」で俳優の玉木宏が指揮するのを指導した様です。
 最初の曲はオケによる①『エフギネ・オネーギンOp.24』よりポロネーズ。オーケストレーションは指揮者のコントロールがきいていて良かったのですが、ティンパニーが僅かに遅れ気味の処があったかな?続いてピアノ部門2位のドミトリー・シシキン(露)の演奏。2位入賞者は二人いたのですね。曲目は、余りにも有名な『ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23』です。やや小柄な スリムと言っていい体躯から繰り出す音は、綺麗で表現も細部に渡って正確無比なのですが、もう少しメリハリがあれば更に良かったかなとも思います。第3楽章は一番の力演でした。演奏後大きな拍手が上がり、挨拶する奏者も満足そうな顔でうれしそう。隣席のおじさんが‘アンコール’と叫んでいましたが、入賞者は主催者にコンサートの場を設けて貰うだけでもラッキーなのに、アンコールまで演奏することは常識的に出来ないでしょう。主催者にとってもそれを容認は出来ないだろうな、などと考えていました。そしたら、そのおじさん次のチェロ演奏後もまたアンコールと叫んでいた。それが癖みたいですね。
 休憩を挟んで後半の演奏は先ずチェロ2位入賞のサンチャゴ・カニョン=ヴァレンシア(コロンビア)の『ロココの主題による変奏曲イ長調Op.35』。曲も奏者も全然知らないし余り期待はしていなかったのですが、出だしの音とメロディを聴いて、おや、これは!と聞き耳を立てる程いい感じなのです。かなり魅力的、曲が進むにつれて次第に演奏に引き付けられました。チェロなのにまるでビオラを通り越してヴァイオリンの伸びやかな音とまがう程の艶のあるいい音色が響いている。如何にも南米の明るい雰囲気を謳歌する如き演奏。チェロでこんなに明るい音の演奏は聴いたことが無い。フルートとの二重奏部分もよかったし、第一、曲がいい。思わず口ずさみたくなるような主題、チャイコフスキーにはこんな素敵な曲があったのだ、しかもチェロ曲で、とやや感動した気持ちでした。第2楽章の重音演奏、最終楽章の非常に速いパッセージ、高音奏法などテクニック的にも十分、今後の活躍が期待されます。(気になったのはやや1本調子のきらいがあったかな?)演奏後は、前にも増して大きな拍手と歓声が飛びました。(もちろんアンコールはなし。でも1位の子はどんな演奏をしたのでしょう?聴きたかったなー)
 最後の演奏はヴァイオリン部門優勝者、セルゲイ・ドガージン(露)の『ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35』。諏訪内さんも神尾さんも決勝ではこの曲を弾いたのでしょうね。プログラムの写真とは大分違って、“アイザック・スターン”似のエネルギッシュな若者が堂々と登場、指揮者とたびたび顔を向き合わせ、呼吸を一致させる仕草で演奏を始めました。流石優勝者だけあって、音も綺麗だし技術も素晴らしいし、音楽性(音楽としてのセンスと言うか、謂わば音楽になっているという意味で使っています。)もいいし、何分迫力が有ります。勢いのある演奏で第1楽章を弾き終わり、次の第2楽章はかなり抑制気味に演奏。3楽章に差し掛かるころには弓の馬毛が数本切れて垂れ下がっていました。如何に勢いよく力を込めて弾いていたかの証しです。演奏が終了すると、今日一番の歓声と拍手が会場一杯に鳴り響きました。ブラボーの声も聞こえる。隣のおじさんは、また「アンコール、アンコール」と叫んでいる。何回か退場してはまた指揮者と現われ挨拶して、これで終了かと思った時、ヴァイオリンを片手に一人で登場、何とアンコール演奏を始めたのです。隣のおじさんは大喜び、立って拍手していました。場内は一瞬静まり、ヴァイオリンの音が鳴り始めました。ニコロ・パガニーニの『ラ・モリナーラ』。この曲はネットで調べるとパガニーニが作曲した“パイジエッロ(Paisiello)作曲のオペラ『ラ・モリナーラ』(La Molinara)の中のアリア(虚ろな心)にのせたヴァイオリン変奏曲”だそうです。それ程短くない曲で演奏が終わると会場は再びやんやの歓声に包まれました。あ~驚いた、発表会に近いコンクール入賞者演奏会でもアンコールをやるとは!
 なお、オケの編成は独奏楽器により少なくしたり増やしたり調節していた様です。これは独奏者の音とオケの音のバランスを考慮してのことでしょうか?
これを書き終わる頃には、台風は嘘の様に静かになりました。窓を開けると夜空の雲間にうっすらと青っぽい部分も見え、虫の音があちこち騒がしい。もう秋本番ですね。